ふざけた世界にさよならを/ホロウ・シカエルボク
爺さんは膝を悪くするまで
ずっとゴーストタウンに隠れていたのだと言った
山を降りてから家族を持った、だが
爺さんひとりを残してみんな死んでしまった
どこかで地雷を踏んでしまったということだった
「膝を痛めていなけりゃ一緒に逝けたんだ」
生き残ったことをどう思うか、と聞くと
首を横に振りながらこう言った
「どうもこうもないよ、た、生き残ったってだけのことさ」
俺たちは必要最小限のものを揃えて
爺さんに礼を言ってゴーストタウンを目指した
「生き残るにはいいところだよ」
「悍ましい山に見えるけれど深く入れば綺麗な水もある、動物も居る、果物も豊富にある」
「そんな場所がどうして捨
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