ふざけた世界にさよならを/ホロウ・シカエルボク
で処分したから
関係者がそれを見つけることは絶対に不可能だった
母親のことは気がかりだったけれど
全部を選ぶことなんて出来ないんだ
国境には近づかなかった
もしも彼らが俺を探すなら
まずそこに行くだろうと思っていたから
険しい山の中に残されたゴーストタウンのことを教えてくれたのは
辺鄙な街で出会った痩せた爺さんだった
お前ら逃げてきたんだろう、にやにや笑いながら
俺たちに世話を焼いてくれた
息子や娘が使っていた服も譲ってくれた
「俺も昔故郷を捨ててきたのさ」
そう言って笑った
逃げ切ることだよ、逃げるが勝ちさ
飲めない正義に付き合ったって腹を壊すだけだ
爺さ
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