引用の詩学。/田中宏輔
 
ラ・パウンド『若きイギリス王のための哀歌』小野正和・岩原康夫訳)


昨日という日が、まるで私の誤った人生をひっくるめたよりも長い時間であるかのように、私のかたわらを通り過ぎてゆく。
(ゲルハルト・ケップフ『ふくろうの眼』第二章、園田みどり訳)


(…)しかし世界から出ることはどこの場所でもできるのであって、そこに崩壊時の星のような力のある打撃を加えればいいのである。こうした制約のために不完全に見えるものは物理学だけであろうか? あらゆる体系はその中にとどまる限り不完全で、そこからもっと豊かな領域に踏み出したときに初めて理解できるという、あの数学のことがここで思い浮かびはしまいか?
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