引用の詩学。/田中宏輔
 
セラフィタ』一、蛯原徳夫訳)


また苦しみの森
痛めつけられた白骨
(ジャン・ジュネ『葬儀』生田耕作訳)


僕のまわりに冷淡な広い余白が拡がる。今僕の眼に好奇に満ちた数千の眼が開く。
(ヴァージニア・ウルフ『波』鈴木幸夫訳)


qualis sit animus,ipse animus nescit.
霊魂は如何なるものなるか、霊魂自身はそれを知らず。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』より、キケロの言葉)


いったん灰になることがなくて、どうして新しく甦(よみがえ)ることが望めよう。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第一部、手塚富雄訳)


埋葬され
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