小麦の薫る男(サンドイッチマン)/本田憲嵩
いる外国人の子供は、他ならぬ幼少期の自分なのだとひどく言い張ってくる。そんな訳の分からないやり取りしているうちに、彼はふいに僕の顔をまじまじと眺めながら、「なんだお前元気ねぇなぁ」って、「まぁこれ食って元気出せや」って、僕にひとつのパンをリュックサックの中から取りだしてきた、さらに彼の食べる分のパンももうひとつ、(ヒジキパン♪パン♪パ、パン♪)、どうやら中にヒジキが入っているパンらしい、僕はいささか躊躇しながらもそのパンを仕方なく口にしてみることにした、そして彼もまた全く躊躇することなくそれを口にする。「あ、これご飯と、ご飯とよく会うなぁ!ご飯に!」って。その次に差し出してきたのが「月寒アンパン」
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