小麦の薫る男(サンドイッチマン)/本田憲嵩
こで、パン♪パン、パ、パン♪)ロールパンの形をした彼のエルボーパッドが僕の二の腕にひどく当たってくる。ぼくはその窮屈さに思わず堪えきれなくなり「あの、ちょっと狭くないですか?」と言ってしまう。そして、そのついでに「もしかしてパンを作っているんですか?」とついつい尋ねてしまう、すると彼は否パンは自分はまったく作っていないのだという、パンはいつも普通のパン屋から普通に定価で買っており、それをそのままの価格で売って歩いて回っているのだという、言うまでもなくその儲けはまったくのゼロでつねにいつもトントンの状態なのだという。さらに彼が言うには、「世界のパン」ヤマザキパンのトラックに描かれた、パンを食っている
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