いつか、まあ、そのうち/ホロウ・シカエルボク
 
片が辺りに散乱していて
(へえ、白バイが随分派手に事故ったんだ、珍しいこともあるもんだね)と思った
まさかあんなに派手な事故になるなんて思わなかったけどね
いろいろな道にいろいろな思い出が落ちている
そのほとんどはろくなものじゃないけど
そんな思い出を数えていると結構生きてきたもんだと思う
普段はほとんどそんなこと気にもしないけれど
蝉の声がしないのが嘘みたいな暑い春
海まで突き抜けている道を街の方に走っていた
煉瓦造りのラブホテルの廃墟があって
今じゃいろいろなところからユーチューバーがそれを目指してやって来るあの道だよ
別にそんなところに買物に行く必要なんてなかったんだけ
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