エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
 
、意外にもあまり上手くない(味がある)走り書きの文字で、日本語なのにカタカナの多い謎の文章が書かれていた。
「法律?」
「いや、経済」
「ふうん」
 特に話が弾むことはなく、「じゃあ」と言おうとすると、彼が、
「気になってたんだけど、エイフェックス・ツインだね」
と言った。
「ん?」
「いや、ヘッドホン。今音が漏れてる」
「分かったの?」
「ドラムで分かった」
 私は馬鹿みたいだけど非常に嬉しくなって、急に彼に親近感を抱いた。それで、「ありがとう」というのも変だな、ともじもじしていると、
「つまりさ、良くない傾向だと思うのだけど、ある女の子がいたとするね。俺は近付き方がいつ
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