エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
彼は何にでも才能があった。私と出会って一年後、彼は復学し、かなりの成績で卒業した。学業の傍ら、TOEFLとTOEICの勉強をしていて、それもかなりの高得点を取った。簿記の一級なんかも取っていた。勉強熱心だった。24歳から東京のIT企業で働き始め、私はそれに付いて行くように、東京のアパートを借りた。親のお金で借りたのだけど。彼は高収入で、将来はまさに安泰、という感じだったのだけど、彼自身はアーティストになりたがっていた。夜遅く帰ってくると、ギターを小さな音で弾き、歌い(彼は本当にいい声をしていた)、それを録音したり、物語や詩を書くのが好きで、それから彼自身は自分の作風を嫌っていたけれど、たくさんの絵
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)