エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
の絵を描いていた。私も、彼はアーティストになるべきだ、と思っていた。
けれど、彼は死んだ。……また、ビールで風邪薬を十錠飲む。それからまた十錠。目を瞑る。再びスピーカーの電源を入れ、エイフェックス・ツインの音楽を流す。頭が朦朧としてくる。沙恵は毛布にくるまって、ベッドに横になる。明日になればYから電話がかかってくるだろう。私が彼のことを死んだと思い込んでいたことなんて、笑い話になるだろう。
「そう、死んだんだけど……」
「死んだんだけど?」
「俺は花屋に行っていたんだ」
「何それ? ふつう花畑でしょう?」
「そう。なあ沙恵。花畑に行きたいと思ったんだ」
「私と? 死ぬのはやだよ」
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