エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
鳴らす。これなのかも知れない。違うかも知れない。
人が生きていない世界で、唯一人との繋がりを得られる営為。私には、声が必要なのかも知れない。
沙恵は冷蔵庫のところへ行き、久々にビールを出してくる。飲みかけて、迷って、風邪薬と一緒に飲むことにする。十錠。もうすぐ朝が来るだろう。朝が来れば彼女は……もう踊れないかも知れない……いや、本当は十年だって踊れるだろう。けれど彼女はこの世の辺境から、何かを届けたかった。そんな思いはこの間まで、彼女は全く持ち合わせていなかった。話なら、Yがみんな聞いてくれた。けれど、彼は、そう、……踊っているとき、彼は確固として私の世界に存在している、……けれどもう、彼
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