エイフェックス・ツイン、永遠に(改稿)/由比良 倖
 
飲み、角砂糖を少し食べ、ひたすらに音楽を聴いている。葬式には行かなかった。音楽を聴いて、踊った。他には、何もすることが思い浮かばなかった。ただひたすらに音楽を聴き、踊っていた。もう、彼女の人生には、先というものが無かった。沙恵の住む家は、結婚までの仮住まいとして、親からお金を出してもらって住んでいたのだけど、もう結婚の宛のなくなった今では(今はまだ親は何も言ってこないが)、早晩この家を出なくてはならないだろう。実家に帰る? そこに未来は無いように思えた。
 沙恵はパジャマのような普段着のような、シンプルなワンピース姿で、昼も夜も同じ格好で過ごしていた。髪を長く伸ばしていて良かったと思った。踊りの
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