泡(あぶく)/ホロウ・シカエルボク
、波長や感性が瞬間的に増幅されてキャッチするのだ、立ち上がり、海岸に背を向ける、その途端背後から巨大な生きものに飲み込まれそうになっているような錯覚に陥る、人間の感覚の限界、本当の意味で海を知るものなど居ない、どれだけの情報を拾い上げようとそれは真実の欠片以上のものでは決して在り得ないのだ、低い堤防の横にまっすぐ伸びる海岸道路は潮を浴び続けて燻っている、風は地球の形のまま吹き付けて来る、十一tダンプが砂利を撒き散らしながら猛スピードで走り抜けていく、バラック小屋のような排気ガスの臭い、かつてはコンビニだった建物、かつては中華料理屋だった建物、そして古い墓地、苔生した墓石たちはまだ傷つかなければなら
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