泡(あぶく)/
ホロウ・シカエルボク
ならないのかと憤っているように見える、巨大なアンテナの足元に放置された事故車、凄惨な死亡事故だったという噂が付き纏っている、もう何十年も営業していたラブホテルの入口にはいついつ閉業致しましたという馬鹿丁寧な挨拶が掛けられていた、そして灰色がすべてを塗り潰していく、人生とはからっぽの世界に立ち込める霧だ、靴底に絡みついた砂利が胡桃のような音で啼いたとき、それまで持っていたなにかを失くしてしまったような気がした。
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