泡(あぶく)/ホロウ・シカエルボク
慟哭は泡上の海に沈殿して行く、死後硬直のあとの眼球のような濁りと共に、ソプラノで鳴く海鳥たちの忙しない鎮魂歌、灰色の空に灰色を足していく、自傷癖の鮫が血を求めている、雷が遠くの空で擦過傷のように瞬いている、いつだって網膜の中に宿命は焼き付けられる、狂った四分音符の羅列、規則性は良く出来た嘘だ、信じさせるためには真実よりも喋る必要がある、お前の証明はいつだって口だけの出任せさ、鋳型に生身を捻じ込んで行くだけのオーディナリー・ライフ、他の誰かが保証したまともさの中で一抹の疑問も無いままに食い潰すんだろう、魂の無い言葉など気に留める暇はない、それは遠い国の硬貨みたいなものだ、拾っても使う当てもない、
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