空白の歌たち/由比良 倖
ちて、
僕が僕でなくなるその瞬間まで、……
そして雨が降り、僕の名前を溶かすでしょう。
名前が最初に溶け切って、最後に僕の命が、僕の命として、
それでもやっぱり自分って分からなくて、世界に
まじまじと見とれて、遊びたくて、孤独も寂しさもあって、
自分を受け入れたくて、弱くて強くて、強くて弱くて、
自信の無い僕のままで、ただ言葉を書いていたいと思うのです。
*
私は今、社会と繋がっている。コンセントと繋がっている。ケーブルのずっと先には、原子力発電所があって、青い核融合炉があって、私はそこから感情を供給している。
感情が溢れ出しては涸れ、溢れ出してはまた涸れる。
シューベル
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)