空白の歌たち/由比良 倖
 
ベルトを聴いてると二百年前と繋がっているし、バッハを聴いてると三百年前と繋がっているので、歴史なんてみんなドット絵のヴァーチャルで、そしてみんな嘘みたいに花の比喩みたいに感じる。

本当と嘘の区別って知ってる? その境目が無くなったとき、あなたは本当に生きてるし、私のいる本当の場所が分かる。何故ならそこには孤独があるし、この世の原理や輪廻からは外れるけれど、そこには純粋な感情だけがあるから。誰も私の好きな世界を壊せない。祈りが根拠となる場所に、私はひとりで佇んでいる。あなたが孤独であるとき、私とあなたは、きっと本当の意味で繋がれるよ。何故なら孤独の中には嘘も本当も生も死も無いし、何の境目も存在
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