空白の歌たち/由比良 倖
 
たいだけ。
静かに、ひとりでいたいだけ。
それが私の願い。全てが死に絶えていく世界で、
今、全ては生きているのだから。

私は、全てを見ていたいだけ。




ずーっとビリー・アイリッシュの歌を聴いていて、
彼女の歌の中でなら死ねると久しぶりに思いました。
僕は冷たい人間です。この家ではなくて人生が僕の家だと感じます。
この辺りには薄暗い図書館が無くて寂しいです。

痛みが欲しいです。世界中の白い部屋が真っ赤に染まるまで。
もうそこから動かなくて、
そこで死んでもいいと思えるまで、ここに留まる訳にはいかないのです。

傷付いて、傷付いて、骨さえも削げ落ちて
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