空白の歌たち/由比良 倖
 
誰かと一緒にくすくす笑い合えたら、最後の瞬間はそれだけでいい。
不完全なデータを残してきたけれど、最後はきっと笑顔で塗りつぶせる。
そして消えるんだ。


私たちはみな、誰もいない場所に住んでいる。
けれどちょっと大人になって、今日の祖母に「おめでとう」なんて言ってみたら?




全ての人は深海なので、人は人に簡単に溺れてしまう。
浅瀬だけを見て、通り過ぎてしまうことも出来るのですが。
私は深海です。深海で出会いましょう。


少しだけ睡眠薬の冷たい味がします。
リリカルで、赤くて、甘くて、白い味。
自分の身体を受け入れることが出来ないなら、
詩と小
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