蜥蜴の行方の先の素描/ホロウ・シカエルボク
う、蜥蜴か、と俺は思う、もしも俺に着脱出来る尻尾があるとしたら、間抜けなほどにそれを捕まれてしまうに違いない、でもそれは一度しか使えない死という手段を、なるべく自分の望む形で全うしたいと思うには有効なのかもしれない、シューティングゲームにおける残機のような…ともあれ、そんな奇妙な余裕のある人生はつまらないに違いない―そんな気もする、俺は本を置いてキーボードを叩く、そんな気分は記しておいたほうがいいような気がした、思うようにはいかないかもしれないが気の利いた日記程度のものにはなるだろう、逸らないように気をつけながら一行一行を連ねて行く、時々、自分の内臓がずるずると引き摺り出されているような気分になる
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