語の受容と解釈の性差について──ディキンスンとホイットマン/田中宏輔
 
の性質(おもにポテンシャルエネルギーによるもの)と与えられた条件(電位差による電気エネルギー)によって生成される物質が異なっていたのである。もちろん、思考の生成過程というものは、おそらく、このような原子衝突モデルや、イオン衝突モデルよりは、ずっと複雑なものであるとは思われるのだが。ところで、わたしの行っていた実験では、もとの物質と生成物とのあいだに、中間体の存在が確認されていたし、それは遷移状態とも言われていたものであるが、思考もまた、言語化されるまえの状態、あのもやもやとした状態も、これに似た感じのものなのではないだろうか。思考における中間体、遷移状態のようなものがあるとしたら、この状態に励起す
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