語の受容と解釈の性差について──ディキンスンとホイットマン/田中宏輔
起するものがなになのか考えるとおもしろい。ああ、しかし、ぼくの行った実験では物質と物質の結合である。物質と物質だけの結合であると強調してもよい。では、思考は、ただ言語と言語が結びつくだけのことなのだろうか。思考が言語化され、表現として言い表されたときには、いかにもそのように見えるだろう。だが、表現にいたるまでの過程で、言葉と言葉を結びつけるさいには、おそらく化学結合における条件、すなわち与えられる熱エネルギーや、圧力などの物理条件に照応するようなものがあるであろう。それが、たとえば、色や形といった姿の記憶であったり、匂いや音や味や感触といった感覚器官の記憶であったりすることもあるであろうし、現に、
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