夜のテーブル/そらの珊瑚
テーブルの上で
蜜柑が燃えている
そのふところにたたえた水を少しずつ手放しながら
冷たく燃えている
つやつやとした
ともしび
坊やが食べこぼした
アルファベットびすけっとのかけらたち
自分が何者であったのか
手がかりは失われ
ただ小さな指の温かさだけをおぼえている
幸福なかけらたち
硝子のコップに挿した
パンジーたち
身を寄せあって水を飲む
そして夜のひそやかさに
耳をすませている
テーブルの淵に座った猫が
釣り糸を垂らすと
夜釣りに最適なSNSの海が現れる
魚が釣れたためしはないのだけれど
これから先釣れないとも限らない
昼寝をたっぷりした
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