けがされもの/秋葉竹
いったいこのちいさな世界には
なんにんの偽善者と
なんにんの偽悪者とが
いるのだろう?
なんてことを考えてみたこともある
天災のあとのような
悲しみしかみえないこの両目を
だから
閉じつづけていたこともあり
人災のあとのような
悲鳴しか聴こえないこの耳を
だから
塞ぎつづけていたこともあり
いま
この寒い夜に
凍えていたりはしないだろうか?
偽善の心を
みずから恥じたりは
していない
だろうか
そして
偽善という
ひっぺがしたあとの
みた目は
まるで悪に近いような
悲しげに揺蕩う心も
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)