手遅れの手前/ホロウ・シカエルボク
 
のかもしれない、真夜中に散歩をすると時々そういう気分になる、でも、もしかしたらもう少し早く滅ぶ予定だったのかもしれない、今夜はそんな風に思った、傷口を絆創膏で張るみたいな往生際の悪いささやかな延命措置が滅びを遅らせたのだ、新しく何かを始めなければならないときに、それまでと同じやり方を繰り返すことしか出来ない連中、自己満足をひけらかしているうちに足元はどんどん不味い状況になっていく、高みの見物を気取るつもりはないけれど集団の思想なんて俺にとっては取るに足らないものだ、規則に反してまで客の指に絆創膏を張りたがる女みたいなやつがもっと居ていい、実際女の絆創膏の張り方は見事だった、水に強い分厚いタイプを買
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