手遅れの手前/ホロウ・シカエルボク
ドへと消えて行った、それならご厚意に甘えて、と、俺は絆創膏を女に渡し、人差し指を立てた、女は手早く準備をしてあっという間に張ってくれた、「はい、毎日張り替えてくださいね」前職は看護師だろう、と俺は冗談を言ったが、本当だった、苦笑しながら俺は女に礼を言った、女はありがとうございました、と丁寧に言った、そんなときの調子はやっぱりホテルのフロントみたいな感じがした、コンビニを出た俺はすぐに帰る気にもならず散歩をすることにした、空家に関する新しい法律が出来て、古い街の空物件は次々と更地になり始めていた、地区によっては小規模な爆撃でもあったのかというほどの真っ新な土地ばかりだった、世界はすでに滅んでいるのか
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