手遅れの手前/ホロウ・シカエルボク
じ込めておくために絆創膏を買いに行くことにした、一番近いコンビニまで歩いて5分程度、延命措置にはおあつらえ向きの時間だった、理由になど何の意味もないが状況をスマートにするくらいの役には立つ、レジには人妻みたいな色っぽい女が居た、長い髪を後ろで纏めていた、ゲンズブールの女だったころのジェーン・バ―キンみたいだった、隣のレジでは目の落ち窪んだ背の高い男が退屈そうに立っていた、俺は絆創膏の棚から近かった女の方のレジに立った、いらっしゃいませ、と女が小さくお辞儀をした、前職はホテルのフロントかな、なんとなくそう思わせる仕草だった、隣の男が続いて、らっしゃっせ、とガス漏れみたいな声で言った、俺は女が読み上げ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)