孤独な口づけ/鳥星
 
ることがあっても、その息の根を止めることはしなかった。ある日、17歳の僕は自分の部屋で首を吊った。訳の分からぬ不安とか将来に対するぼんやりとした失意の中で首を吊った。生きていることを実感するために首を吊ったとも言えるかもしれない。少なくとも死ぬために首を吊ったのではなかった。気を失う寸前に、自分の首から縄を外し、自分がまだ生きたいのだと確かめることができると安堵するのである。

 僕は夜道を彷徨うのが好きだった。一人ぼっちで自分の家から遠くまで歩くのが好きだった。あえて知らない道を選び迷子になり、それでも彷徨い続けるのが好きだった。時間の無駄だと知りながらも、当てどなくクラゲのように漂い続けた
[次のページ]
戻る   Point(3)