孤独な口づけ/鳥星
 
彼女の姉の車は駐車場に停まったまま、冬風に囲まれていた。僕は17歳で、彼女は18歳だった。彼女は鬱病のために精神科に通院し、時折入院することもあった。僕も鬱屈した精神を抱き抱えて苦しみながら生きていたが、精神科には通わなかった。彼女の家は僕の家から歩いて40分程度だったから、いつでも会いに行けた。寂しい気持ちで僕らは繋がっていた。僕は孤独だった。彼女がいても、友達がいても、いつもいつも何かが欠けていた。大きな欠陥が僕の胸の底に穴を開けた。だから何もかも零れ落ちてしまった。贅沢な悩みだと思うかい。彼女がいても、友達がいても、僕の作り笑いは間抜けなほどに見え透いていて、僕の自殺願望が自分の首を絞めるこ
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