孤独な口づけ/鳥星
 
 シュルレアリスムを隠れ蓑にして、詩を書くのはやめたんだ。僕は現実を見つめて、自分の弱さと対峙して、肉と骨と血の滴る生々しい詩を書くんだ。シュルレアリスムなんて格好付けているだけだ。DADAの仮面を外して、自分の醜い顔面を曝け出すんだ。メタファーなんて今ではもう空々しい概念のひとつだ。僕は何を書き写すか? 人生を書き写す。生活を書き写す。人間を書き写す。心を書き写す。僕はもう疲れてしまった、作り話を弄することに、心を偽り続けることに。かつて、詩は青空の向こうに遠く聳えるカフカの城のようなものと捉えていたが、今ではこんなにボロボロになった指先の中にも詩が宿るのではないかと考えている。創作の源泉を遠い
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