遊歩道(trap.street)/アラガイs
 

一本の荒れた道を科学者が歩いている
意識があるうちに離れないように、
 その少し後ろを歩いているのだ
二人が進むと左右の景色は前後非対称に動く
歩いている道の途中には幾筋もの横道が逸れている
右手には草花が咲く小道
左手には坂を登る道
科学者の歩行は時々速くなり遅くなる
どんどん離れていくのでわたしは右手の小道に向きを変えた
それが近道だと確信はなかった
可憐に咲く草花を眺めて歩いていると
、前方に科学者の姿が見えてきた科学者の白衣が
それが確信だったのだ、と眩しい宙を見上げた
近づくと科学者は以前の科学者ではなかった
どうやらその前方を歩く犬に導かれている様子だっ
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