遊歩道(trap.street)/アラガイs
 
だった
わたしは摘み取った野苺を二粒科学者の手に差し出した
科学者はその一粒を犬に与えてやると
もう一粒を手のひらで強く握りしめた
苺は剛性の携帯に形を姿を変えた
 口の中でわたしの苺が上下に振動を始め
  草花の群れがゆっくりと小さくなり
 見下ろせば幾筋もの道には標識が掲げられ
左右非対称に動いていた景色が止まる
…………はっくしぇん!
坂道を下りてきた科学者が花粉を吸い込んできた
室内の扉が開いて科学者たちが入ってきたのだ
                  このまま眼を開かないでいれば幸せかな
    !まあ、なんてことを言うの…………
助手の女性に叱られてしまった
透明な水槽から水が流れて
肌色の犬が口を舐めている
何日めの今日だろう
天井を見上げれば白い宙の横を草花が歩いていた







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