鏡像 【改訂】/リリー
 
して母親の施設への入所を決断した娘の選択は、それを拒否しな
 かったという母の選択でもあったのだろう。

 「明るい部屋やな! 南向きで最高やん」
 「うん。落ち着くし、いいやろう!」
  二階の玄関の扉を開けてキッチンの床へ買い物袋を置き、ワンエル
 ディーケーを見回す私へ誇らしげな笑みを返す彼女。
 「大家さんも優しくて、いいご夫婦なんやんか! あたし、ついてた
 わ」
 「大家さんが、いい人なんは何よりやなぁ!」
 一時間程して小さな炬燵の鍋敷には、煮えているすき焼き鍋が運ばれて
 来る。
 「さあ! では、いただきましょう!」
 友人が冷蔵庫から出したロング缶のビ
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