鏡像 【改訂】/リリー
 

 「なんでそんな事言うのっ、そんな事誰が思ってるんよっ! 情けない
 わっ!」
 時折、厳しい言葉が口を吐いて出てしまったらしい。
  そんな話をする彼女のロックグラスには、いつも川がみえた。常に影
 を落として、ものうく……絶え間ない流れであり。その底深く、激しく渦
 巻くのである。
  一日中、殆ど陽の差す時が無く。覆いかぶさった樹々からしたたる大
 きい滴に、川面は驚いた様な波紋をおこすだけであろう。その絶え間な
 い流れが、常に影を落としながら彼女の溜め息を引き受けていた。ほん
 の一瞬、水底に魚の姿を認めたけれども、彼女もわたしも最早若くはな
 い。
  そして
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