音のない雨/ホロウ・シカエルボク
ような顔をしていないかと心配になる、執拗にクラクションが鳴らされて小競合いが始まる、ルールの中で程よく悪漢で居ること、真っ当なラインに依存しているからこその振舞、とてつもなく滑稽、あいつらの拳はきっとスポンジケーキのように柔らかいだろう、突然、激しく雨が降り始めた、人々は傘を差して足早に歩き始める、揉めていた二人も舌打ちを交換して車に戻る、良かったな、下らない見栄に最高の幕引きをしてもらえて、冷やされた街の熱が気化して火葬場の炉の中を連想させる、誰が生きていて誰が死んでいる、線引きをするのは誰だ、ヒトの真実は誤魔化され過ぎて奇形化した、生命は捻じ曲げられて繁殖すら否定し始める、安易な絶頂の為の道具
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