音のない雨/ホロウ・シカエルボク
ガスのボンベを銃で撃ち抜いて誰かのせいにしたい、でもたとえ銃を持っていたところで俺は愉快犯にはなれない、俺が撃ち抜きたいものはいつだってたったひとつなのさ、ひとつ外れた狭い道では表通りが隠しているものが臭い続ける、どいつもこいつも本性、本能を抜きにした綺麗ごとを並べるばかりさ、あいつらが見えないところで、室外機やダクトから何を吐き出しているかなんて考えるまでもない、秘罪は内側から羽虫のように自我を食らい尽くすだろう、外皮を美しく塗ることばかり気にしていたら臓腑が腐ることに気が付かない、原因が明かされない死のニュースが増えた、やがて路地は終わる、もう一度表通りに躍り出る時、自分が誰かを狙っているよう
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