音のない雨/ホロウ・シカエルボク
るのさ、群れの中に隠れようとするやつらはいつだって牙を剥く振りだけを続けるのみさ、頬を打つ冷たい雫、とうとう、とうとう雨が降り始めた、一瞬のうちに街は冷たい透明の中で溺れていた、自覚の無い溺死体たち、傘の中で幸せを装っているみたいな笑みを浮かべ続けている、積極的な洗脳、そこに居るだけですべてを手に入れていると思わせる鉄壁のシステム、ボーイ、君の存在意義は税金を納めるという一点にしかない、群衆に背を向けるのは俺の癖みたいなものだ、でもその為にすべてを投げ打とうとは思わない、いつか野垂れ死ぬ覚悟だけしておけばいいのさ、大通りの途中でもう一度路地へと紛れ込む、もはや道というよりはビルとビルの間と言った方
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