音のない雨/ホロウ・シカエルボク
 

秘罪は内側から羽虫のように自我を食らい尽くすだろう、薄暗がりの路地の中で死後の自分の眼差しを見た週末、雨はかろうじて降らないでいるだけの午後だった、冬の名残でもなく、春の目覚めとも思えない温い気温、内奥の燻りが爆ぜた途端なにもかもが静寂に見えた、誰かがカバーした「雨を見たかい」がホットドッグのキッチンカーから漏れているのが聞こえた、あれはもしかしたらロッド・スチュアートが歌ったものかもしれない、こめかみに銃口の感触、思えばそんな冷たさがいつだって存在理由だった、冷たい鉄の欠片が体内に紛れ込んでいる、一粒残らず刻みつくして取り出したい、それが生きる為なのか死ぬ為なのかは分からない、焦らなくてもい
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