鏡像 【改訂】/リリー
る所やない。考えなさい。あんたの為に、言うてる
んや」
それは何とも言えない冷たい口ぶりで、胸に刺さる迫力があった。
もう寮母室の魔の二月だったカレンダーはめくられて、どこかの桜の花
の写真に変わっている。
「あだっさんはさ、施設とかの仕事に向いてないんちゃうかなぁ……」
年度末の三月も半ば過ぎ、夜に降った雪が道に溶け残る寒い日。私が病
室で一人だった午後に、畳んだ衣類の収まる大きな洗濯カゴを提げるミズ
ノちゃんが、立ち寄って話し掛けて来た。
病室担当の先輩は、寮母室で措置台帳の日誌を書いており、もう一人は
多目的ホールで、手伝ってくれる自立入居者
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