鏡像 【改訂】/リリー
の午後の事態を確認され
る。五千円が不明だと、東野さんの私へ頭から決め付けた発言。自分は身に
覚え無いと断言しても、素知らぬ顔で寮母室を出て行った。
副主任は、二人きりになると初めて話してくれた。同じ事が過去に二度
あったのだ、と。東野さんのことは、次長も分かっているから不足金は事務
所で処理するので心配要らない。それを聞いて、堪えていたものが一挙に溢
れ副主任へ抱きついて号泣した。
「あ……あ、あんた、べっぴんが台無しやんかいな」
泣き止まない私の背中をさすってくれたのだった。
別の日の午後、病室の入居者さん達の預かり金で皆んなの肌着を新調し
帳簿
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