『夢幻空花』 一、 此の世界の中で/積 緋露雪00
 
、それが仮に存在するのであれば魑魅魍魎が跋扈する地獄絵図にも等しい”悪”ばかりが蔓延る絶望の世に違ひない。唯、そんな気がするだけのことだが、しかし、大概、直感といふものは本質を鷲?みにし、正鵠を穿ってゐるものだ。とはいへ、世界に秩序が、道理が存在することは否定できぬ。秩序があるからこそ、私は此の世界の中で予測不可能なことが同時多発的に起きながらもそれぞれに対してかうなるだらうといふ予測を立てては予定調和の中に不安を最小限に抑へながら、日常といふものを生きてゐる。平穏な日常が成り立つことは僥倖で、それが世界の慈悲ならば、此の世界は慈悲深いといふこととになるが、世界は時に牙を?き残酷極まりないのも事実
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