失くした頁ほど読み返したくなるものだから/ホロウ・シカエルボク
ルダに保存された彼女はどんな腐敗を始めるのだろう、俺は彼女の死にこっそりと手を合わせた、どこのどんな人間だってそんな風に死にたくはないはずさ、街は少し曇り始めていた、雨の予報が出ていたかどうかは思い出せなかった、そして俺にはまだしばらく傘を買うつもりなどなかった、下らない出来事に群がるやつらはいつだって蠅みたいに見える、潰れたパチンコ屋の前を歩きながら短い詩を書いた、SNSは時々感情の墓場になる、それは詳細な時間の死の記録でもある、若い頃よりは確かに死の臭いは近くにある、だから身体は刺激を求め続ける、錆びついて安易な共通概念を共有するような毎日になったらおしまいさ、そいつはもう生きながら死んでいる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)