鏡像 【改訂】/リリー
 
はるねん」
  午前のお便所掃除を済ませて洗面所で手を洗う私へ、木崎さんは廊下拭い
 たモップを手にしたまま話しかけて来る。
 「彼氏とは、その後どうなんよ?」
 「うん、好きなんやけど。遠距離やしあんまり話も出来ひんし。あたしぃ……
 彼のお母さん好きなれへんねんか。好きでないと結婚て、したらアカンにゃろ
 ?」
 「何言うてんの! あんたっ、あたしなんて、お義母さん大っ嫌いやで! 顔
 も見とないわ。近くに住んでるってのが腹立つわあ。けどな、……うまくやっ
 てんねんて」
 「ええっ? どうやって……」
 「あんたぁ、結婚て、夫婦なるて、そんな綺麗なもんちゃうねんで。あん
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