百の夜/岡部淳太郎
数える
夜を
その存在を
その版図を
人生の裏側から君は数える
吊るされたものが笑う夜
浮き上がるものが泣く夜
どんな夜が
君に魂の改変をせまっていたのか
わからない
わからないからこそ君は
数える
夜の数
憎悪とともに 悲哀とともに
去っていった魂の数
それはともに等しく
ともに君に夜の感情の流出を
うながす
歩く
夜を
一の夜を
十の夜を
百の夜を
君は歩く
私たちを
汚れた空気にしたのはいったい誰だ?
私たちを
いやな臭いの腐敗物にしたのはいったい誰だ?
夜のそこかしこから
君を頼って声が聴こえる
ここまで深く足を踏み入れてしま
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