いつでも枕がそこにあるとは限らない/ホロウ・シカエルボク
 
前日の仕事の疲れでウトウトしていた、「これはあなたの?」女は枕になっていたものを持ち上げて言った、俺は目を開けて頷いた、「目が覚めたか」「ヤバい倒れ方だったから心配していた」女は肩をすくめた、「わたし、興奮するとすぐ気絶しちゃうのよ、脳がすぐ酸欠になるの」そんな病気もあるんだな、と俺は言った、ライブは終わり、人々はわりとあっさりと現実に帰って我先にと出口に向かっていた、「あなたはこれからどうするの?」「家に帰って眠るつもりだよ」女は笑った、「それじゃあわたしもそうしようかな」帰り道で興奮するなよ、と俺は釘を刺した、女は口を歪めて笑いながら俺を軽く小突いた、「いつでも枕がそこにあるとは限らないものね
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