いつでも枕がそこにあるとは限らない/ホロウ・シカエルボク
刻まれたのさ、それが、いつ、どこで、誰だったかなんてもう思い出せない、でも俺はそのお陰で、なにも見ないまま人生を重ねずに済んだ、自分の力で自分の人生を生きることが出来たんだ、切り刻まれた衝撃は色褪せない、魂が曇らない限りね…列の後ろに居た女が倒れる、熱気に当てられたらしい、スカートが捲れて下着が露わになっている、俺は紙カップウを捨てて、女のもとに歩み寄りスカートを直してやる、どうせみんなステージを見ている、誰も俺たちになど気づきはしない、俺は自分の荷物を枕代わりにして、彼女を寝かせてやった。倒れてた時に頭を打ってたように見えた、起きるかどうか心配だったのだ、アンコールの途中で女は目覚めた、俺は前日
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