いつでも枕がそこにあるとは限らない/ホロウ・シカエルボク
 
のものを落としてきてしまったけれど、そのひとつひとつに不幸なんて名前をつけようとは思わない、その中にはかなり大切だったものだってある、でもいまさらどうしようもない、誰だって望むものをすべて手に入れることが出来るわけじゃない、それに、本当の喪失なんて生きている限りは在り得ないものだ、ピンク・フロイドの映画みたいにベルトコンベアに乗ってるやつら、速度が安定していることを誇りに感じている、でもそれは彼ら自身で手に入れた速度ではない、俺は特殊な刃でやつらを切り刻む、それは肉体を傷つけることはない、ある種の盲目―そいつだけを切ることが出来る刃だ、俺は古い傷を押さえる、俺だって遠い昔、誰かにそんな風に切り刻ま
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