日記、メモ/由比良 倖
 

 今日も引き続き、日記に書くようなことは特に無い。両親が不仲で困る、ということを書いていたけれど、面白くないので消した。他には、何か散文詩みたいなことばかり書いている。

 元も子もある奇妙なズレの感覚。無価値なブランド品の数々。美しい気分のときは何だって美しいのに、気分が冷めると何もかもが醜くなる。僕は何処まで行っても幸福にはなれないけれど、ある一点を超えると途端に幸福になる。ある程度幸せ、という言葉は、本当のところは、僕にはあり得ない。不幸にはずんずん落ちていく。ある程度の不幸さと、絶望的な気持ちの間には断絶が無くて、あっという間に、すとんと死にたくなる。「もう駄目だ」には一瞬で辿り
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