三文芝居の夜/ホロウ・シカエルボク
 
書き続けている俺はそのことをよく知っている、言葉を言葉のままでしか記せない人間たちが、どこかに手本があるようなものを書き続けている、それについてだけはほんの少し歯痒く思ったりもするけれど―俺は、自分がなにを考えているのか知りたいだけなのさ、いつだってね、考えを記すために書いているわけじゃない、順番がまるで違うんだ、考えを記すための詩は、結局頭の中にあるものを書き写すだけに終わってしまう、俺はそんな手法に興味が無い、俺はきっかけになる言葉を見つけて、速度の中で自分の奥底にあるものを引き摺り出そうとしているんだ、上手く行く時だってあるし、上手く行かない時だってある、牙を剥きたいのに、奇妙なほどに抽象的
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