Rend Fou/ホロウ・シカエルボク
着く方角だった、でも、なにも見えてこなかった、ただただ真っ白い世界が広がっているだけだった、俺は狂ったように叫びながら速く走った、息が切れることも無かった、俺はもう死んでいるのだろうか、と考え始めていた、わけがわからない、どうして突然こんな目に遭うんだ、なんでもいい、と俺は口走った、なんでもいい、どんなことでもいい、動いてくれ、この真っ白い世界から俺を出してくれ―その時―突然足元が奪われ、身体はもの凄い速度で落下し始めた、そしてその速度に合わせるように白い世界が霧が晴れるように散っていった、目の端に巨大なビルが見えた、地面からかなりの距離があった、なぜ、俺はこんなところにいる筈では―そう考える間も
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